漢方でのアトピー性皮膚炎の考え方

「皮膚は内臓の鏡」という言葉があるように健康な皮膚は、「気」「血」「津液」や五臓六腑が調和しながら作り出していると漢方では考えます。

気・血・津液・五臓六腑

皮膚表面に痒みや湿疹が起きるため皮膚に異常が在ると考えがちですが、皮膚表面ではなく気・血・津液や五臓六腑の不調和等の体の内側に原因があると考えます。
実際患者様のお話をよくお聞きしていると受験や引越し、入社など何らかのストレスが続いている時・仕事や部活が忙しく疲労が重なっている時等により症状が悪化されている方が多いですよ。

その為、皮膚表面のケアーも大切ですがそれ以上に体の内側のバランスを良くすることが大切だと考えています。
丁度お部屋のガラスを磨くときに外からだけいくら磨いても綺麗にならず、中からも磨くことによって初めてガラスが綺麗になるのと同じですよね。

アトピー性皮膚炎の漢方療法

漢方では体に悪い影響を及ぼすものを邪(じゃ)と呼んでいます。
内臓のバランスが良いときには外から邪が入ってきても簡単に追い出すことが出来ます。
しかし、「気」「血」「津液」・五臓六腑のバランスが悪いときには簡単に邪が進入します。

また、バランスが悪いと自分の体の中で邪を作り出してしまうことも多くなってしまいます。この邪が悪さをし、皮膚表面に症状として現れてくると考えています。
特に皮膚に関係の深い邪には 風邪(ふうじゃ)・熱邪(ねつじゃ)・湿邪(しつじゃ)があり、あちこちに痒みが出る・赤みやハレが強い・ジクジクしやすい等それぞれの邪に特徴があります。
皮膚表面の状態をどの邪が引き起こしているのか分類し、その邪を取り除いていくことから始まります。
また、そもそもの邪の進入や発生を許してしまう「気」「血」「津液」・五臓六腑の不調和を治し、アトピー性皮膚炎が悪化しにくい体を作っていきます。

風邪・熱邪・湿邪

アトピー性皮膚炎の漢方療法の進め方

先ず、最も重要なのが患者様の体質を詳しく把握することから始まります。
体力の有無・体が冷えているのか、熱をもっているのか、痒みや湿疹はどのような時に悪化しているのか等々、細かい症状の一つ一つが漢方薬を決定する為の重要な要素です。
またアトピー性皮膚炎では、悪化の要因が多岐にわたる場合も多く通常数種類の漢方薬を組み合わせることが多くなります。
この組み合わせる漢方薬の分量比も重要な要素である為、大谷薬局では患者様の状態を先ずは詳しくお話して頂くことに一番時間をとっています。

カウンセリング風景

症例

K子さんの症状

現在28歳のK子さんは、小学生くらいから風邪を引きやすくなり、風邪が治った後も気管支が弱いのか、咳だけが続くことが多かったそうです。
元々皮膚はデリケートなほうで、虫なんかに刺されても跡がいつまでも残るような感じでしたが、特に湿疹や蕁麻疹が続くことは無かったそうです。
しかし、中学にあがる頃から少しずつ湿疹や蕁麻疹が出たり引っ込んだりを繰り返すようになり新しく始めた剣道の部活が忙しくなるにつれてどんどん皮膚の症状も悪化していったそうです。
その頃は、抗ヒスタミン剤等の内服と外用軟膏で酷い時にはステロイド軟膏で対処し、症状は一進一退の繰り返しだったそうです。しかし、社会人になった頃から更に症状が悪化しだし、軟膏も今までの分量では全然症状が落ち着かなくなり凄く不安だとお話になられます。

現在の症状は上半身が主で、特に首周りと顔に赤みと湿疹が強く出ています。
一番悪化する時期は、梅雨から夏にかけて湿度と気温が高い時期で、夏場は夜間に無意識に掻いている事が多く、朝傷になっている。
掻き壊した部位は、カサカサで皮膚が厚くなっている。湿疹は赤みが強く掻くと汁が出てくる。
汗をかいた時やお風呂に入って体が温まると更に痒みが酷くなる。と本当に悩んでご相談に来られました。

処方後・・・・

K子さんの場合、赤みやジクジクしている事が多いことから漢方的には湿熱の邪が多いと考えられます。
元々、湿熱の邪を体内で作り出してしまう方は、特に梅雨から夏場は気温と湿度が高い為に更に皮膚の症状が悪化する方が多いですよ。
また、精神的なストレスは湿熱の邪を更に助長させてしまいます。
先ずは湿熱を体からとるために黄連解毒湯と猪苓湯を分量比を加減しながら服用してもらい、膚表面からの正しいケアも行なって頂きました。
3ヶ月たった現在、赤みはずいぶん軽くなり汁は殆どでなくなっていると嬉しそうにお話になられます。

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